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希望小売価格とは?定価やオープン価格との違いを解説

公開日
2024年10月07日 18:00
最終編集日
2024年10月07日 18:10

「希望小売価格」「定価」「オープン価格」といった用語の違いを理解することは非常に重要です。これらは、売上や利益、品物のブランドイメージなどに直接影響を与えるため、正しく活用することが求められます。
本記事では、希望小売価格の意味から、定価やオープン価格との違い、そしてそれぞれの利点や欠点について詳しく解説します。さらに、価格設定の際に注意すべきポイントも取り上げ、メーカー(製造業者)と小売業者の双方が適切な戦略を立てるためのヒントをご提供します。

希望小売価格とは

希望小売価格の定義

希望小売価格とは、製造業者が小売に対して「この品物はこの売値で売って欲しい」と希望を出すことです。小売がお客様に売る際の目安として案内されるもので、パッケージやカタログなどに記載されています。ただし、あくまで希望であるため、最終的な売値は小売が決めることができます。例えば、セールや値引きを行う際には、これをベースに割引率を決めることもあるのです。お客様にとっては、その品物の値打ちを判断する材料となり、小売にとっても売値を決める尺度になります。

希望小売価格設定のメリットとデメリット

製造業者が自社の品物の価値をお客様に伝えやすくなることが利点です。例えば、目安となる売値を案内することで、お客様に対して品物の価値や品質を示すことができ、「適正価格」としてのイメージを確立することが可能です。また、小売側にとっても、売値を決める際の目安となり、迷いを減らすことができます。特に、新製品やマーケットでの知名度が低い品物に対しては、これがあることによって、売価をある程度コントロールできる点が大きな利点となります。
欠点は、小売側の競争力が制限される可能性があることです。高すぎる場合、お客様は「この品物は高価だ」という印象を持ち、購入を控えることがあります。
また、これよりも安い売値で売る場合、値引きされた品物のイメージが強くなり、本来の価値よりも低く見られることもあるため、売価を決める際には慎重な調整が必要です。
さらに、お客様に「この値段で買わなければならない」という固定観念を与えてしまい、他店との競争で不利になるケースもあります。

希望小売価格と定価の違い

定価とは

定価は、製造業者が品物に対して、一律に定める売値のことで、小売に対してその値段で売ることを求めるものです。強制力があり、小売は製造業者が案内した売値で販売しなければなりません。これは特に書籍や新聞、音楽CDなど、特定の品物に適用される「再販売価格維持制度(リセールプライスマンテナンス)」によって認められています。
この制度の目的は、品物の売値を全国で統一することで、お客様に安定した価格を提供することや、文化的価値を持つ品物を守ることにあります。なお、一般的な品物の場合は独占禁止法によって定価の強制が制限されています。

希望小売価格と定価の比較

希望小売価格と定価の違いは、その拘束力です。希望小売価格は製造業者が小売に対して「この売値で売ってほしい」と希望するだけです。あくまで「希望」にすぎません。そのためその売値を目安にしつつ、最終的な売価を決めることができます。
たとえば、セールや在庫処分などで希望小売価格よりも低い値段で売ることが可能です。この柔軟性により、小売は市場状況やライバルの動向に対応しやすくなります。

一方、定価は製造業者が品物に対して一律に定める売値であり、特定の条件下では強制力を持ちます。特に「再販売価格維持制度(リセールプライスマンテナンス)」が適用される品物(書籍や新聞、音楽CDなど)では、定価で売らなくてはなりません。
これにより、全国どの店舗でも同一価格で販売されるため、売値の統一感が保たれ、お客様にとってわかりやすいという利点があります。

定価設定のメリットとデメリット

メリットは、価格の統一性を保てることです。製造業者は品物を定価で販売することで、ブランドイメージを守ることができます。たとえば、書籍やCDなどは定価で販売されることで、どの店舗でも同じ価格となり、お客様に対して安心感を提供できます。
また、品物が定価で販売されることで、過度な競争が抑えられ、品質やブランド価値を維持しやすくなります。また、著作物といった文化保護に貢献する側面も存在します。
しかし、デメリットも存在します。まず、小売は定価販売を強制されるため、自己の裁量で値決めができません。その結果、在庫処分やセールを行いにくく、売れ残りが発生する可能性があります。また、お客様にとっても、定価が高いと感じられる場合、購入を控える要因となります。
さらに、これが存在することにより、売値に関する競争が制限されるため、マーケット全体が活性化しないこともあり得ます。

指定価格制度とは?メーカーが独占禁止法に違反しない販売価格の考え方

希望小売価格とオープン価格の違い

オープン価格とは

オープン価格とは、製造業者が品物の売値をあらかじめ決めず、小売が売値を設定する方式です。具体的には、製造業者は品物を小売に出荷する際に卸価格を決定しますが、その後の売値をいくらにするかについては小売に一任されます。
これにより、マーケットの動向やお客様のニーズに合わせて価格を調整できるため、同じ品物でも販売店舗によって価格が異なることが特徴です。家電製品を売る際に広く採用されている方式であり、オープン価格はお客様に対しても、比較的安価で品物を手に入れる機会を提供します。

希望小売価格とオープン価格の比較

希望小売価格とオープン価格の主な違いは、製造業者と小売が価格設定にどれだけ関与するかです。希望小売価格は製造業者が「この売値で売って欲しいです」と希望するものであり、小売はそれを目安にしますが、必ずしもその売価をつける義務はありません。
品物の価値を示す尺度としてお客様にわかりやすい価格を提供する一方で、小売の裁量で値下げや値引きが行われるため、品物によっては大幅な割引が見られることがあります。

一方、オープン価格はメーカーが小売価格を決めず、小売がマーケットの状況やお客様のニーズに合わせて価格を設定する方式です。このため、同じ品物でも店舗や地域によって価格が異なり、お客様は複数の店舗を比較して最もお得な価格で購入することができます。オープン価格は家電製品等で活用され、価格競争を通じて品物が市場価格に近づきやすくなります。また、メーカーはブランドイメージを維持しやすくなります。

オープン価格設定のメリットとデメリット

オープン価格は小売に対して、売値を決めることに関して大きな裁量を与えます。小売は競合店と比較して販売価格を調整し、利益を確保する戦略を取ることができます。例えば、競合店よりも若干低い価格を設定することで、お客様を引きつけることが可能です。
また、在庫状況や市場の需要に応じて、価格を柔軟に変更できる点も大きな利点といえるでしょう。
さらに、メーカーにとって、オープン価格を採用することで品物が割引表示されることがないため、ブランドイメージが損なわれにくくなります。希望小売価格が設定されている場合、値引き競争によって「安売りをよくする企業だな」という印象を与えてしまうリスクがありますが、オープン価格ではそのような心配がありません。
一方で、オープン価格はお客様にとって売価が一目でわかりにくいというデメリットがあります。カタログや広告に「オープン価格」と表示されるだけでは、実際の売値がわからないため、お客様は各店舗を回って調べる必要があります。

希望小売価格の注意点

メーカーの注意点

メーカーが希望小売価格を決めるときに最も注意しなければならないのは、「再販売価格の拘束」に関する独占禁止法です。再販売価格の拘束とは、メーカーが小売に対して、希望小売価格での販売を強制したり、値引きを禁止したりする行為を指します。独占禁止法では、こうした行為は「競争を制限するもの」として禁止されています。

例えば、メーカーが「この売値で売らないのなら、もう御社には仕入れをしないですよ」といった圧力をかける行為は、再販売価格の拘束に該当し、違法となります。希望小売価格を案内すること自体は問題ありませんが、小売がその価格より安く売ることを妨げるような行為は避けなければなりません。直接的にその売値を強制しなくても、小売に圧力をかけるような行為や値引きを阻止するような言動は違法行為と見なされる可能性があります。
そのため、希望小売価格を伝える際は、あくまで「目安」として提示し、売値の決定に関して、任せる姿勢を示すことが重要です。

小売の注意点

小売が希望小売価格を取り扱う際に注意すべき点は、「二重価格表示」に関する問題です。これは、希望小売価格や通常価格と比較して「○○%引き」や「今だけお得!」といった表示をすることで、お客様に対して実際の値引き額を強調する方法です。ただし、二重価格表示を行う際には、実際にその価格が「長期間(直前の8週間の、そのうち4週間以上)通常販売価格として存在していた」ことを証明できなければなりません。(※1)通常価格が一度も設定されていないにもかかわらず、割引表示を行うと「不当表示」と見なされ、違法となる可能性があります。
また、品物を希望小売価格から割り引いて売るとしても、その売値が市場で実際に流通していたかを示す証拠(広告やカタログなどによる公表)が必要です。
さらに、割り引く前の品物の売値は、販売をする事業者以外が定めたものである必要性があるのです。小売事業者自身のプライベートブランドや、メーカー自身が自社の製品を売り出す場合には二重表示価格そのものを活用できないという点に留意してください。

※1…この基準は更新されることがあるため、最新の法規制に基づいて運用する必要があります

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