価格調査ツールの選び方についてメーカー事業者の課題を踏まえて
高まるEC市場の拡大とこれまでの流通販路の選択によるメーカーの課題
これまでの流通販路として、卸しや代理店経由からのECへの流通により、把握が難しい不特定の2次、3次流通先の販売店への供給が必然的に成立しています。
EC市場の拡大や新型コロナの影響により、普段通販を利用しない世代のデジタルシフトやキャッシュレス活用の需要が高まってきている影響によって、今後のEC戦略を見直す必要が迫られています。
1)EC市場の拡大の推移
経済産業省が公開している資料によると、
2018年のBtoC-EC 市場規模は「17 兆 9,845 億円(前年比 8.96%増)」、物販分野のEC化率は「6.22%(対前年比0.43ポイント増)」に拡大しています。
2)加速するキャッシュレス化
三井住友カードが公表している資料を見ると「巣ごもり消費の影響」「高齢者のデジタルシフト」が加速しているという結果が出ている。
新型コロナの追い風もあり、シニア世代を中心としたキャッシュレス化が加速しています。
図3では、2月はまだ多くの業種が前年同月比で増加しているが、3月はほとんどの業種で減少しています。
このような状況の中で、3月に件数も金額もプラスとなった業種は「ホームセンター」「スーパー」「ペット関連」「ECモール・通販」「通信サービス」「美容品」とされており、在宅時間の増加に伴う消費の傾向が見えます。
3)EC価格競争の実態と流通対策は必要か?
その中での「小売店同士の価格競争の速度」は早く、
セールやキャンペーンに限らず「1日数時間単位での価格決定」が頻繁に行われています。
直販の小売店から、不特定の○○店が値下げしているから、
「値下げしないと売上が下がる」
「単独で安売りする市場価格を崩す小売店に対してメーカーとして対応は?」 など
市場にあった競争をしている小売店にとっては、「不利益な自体が発生しやすい要因」となっています。
特に主要な家電量販店にとっては、リアル店舗が主体の頃から競合価格の競争を行ってきた背景から、
EC市場で販売力の強いAmazon.co.jpなどとの価格競争も頻繁に行われています。
消費者が納得をして買ってくれる一番の要因が
「市場価格にあった同価格」or「それよりも最安値」
という価格競争から値崩れが発生し、本来「値下げしなくても買ってもらえる価格」が崩れています。
「市場価格よりも大幅な値下げ」によって、価格競争が発生し、
「他小売店への不利益」や「ブランド価値の低下」につながります。
これまで気付いてない流通販路での
「ブランド価値低下のリスク」
「小売店からの相談・リベート要求」
によって、今後もECの流通対策の課題が顕在化する前の一早い対応が求められていくと考えられます。
4)独禁法に準拠した活動制限の課題
独禁法上は、一度流通してしまった商品の流通販路を選択し直すための難易度が高く、取り組みによっては最低でも「半年から数年の期間を要する」ケースで大半です。
取引先との定期商談においても、取引先にとっても不利益な価格設定に対してアドバイスや要請をするのは独禁法上の「再販価格の拘束」においても問題はないとされています。
しかし、現場の実態として競合店の○○が○○円を先に下げたから、うちも下げないと売れないなどの理由から、納得してもらうために「正確な価格競争のデータを求められる」ことやその対応に「大幅な人的なコストがかかる」という理由から対策を諦めているメーカー事業者も多く見受けられます。
いち早く自社の流通販路の状況を把握し、消費者とって有益な「選択的流通」を検討するか、定期商談などの価格統制により市場にとって「不利益となる価格競争が発生しないような取り組み」にすることによって、販売店同士の適切な販売競争とブランド価値の維持に繋がります。
メーカー向けに提供しているツールの機能を比較してみる
定額で提供しているECモール向け「価格調査ツール」や「市場の様々な情報を取得するツールは数多く存在」しますが、受託開発のように要望に合わせた独自のカスタマイズを行って、提供するシステムは一定数います。
メーカー事業者向けに特化して定額で提供しているツールは、現在の市場だと「プライスサーチforブランド」のみであると考えられます。
今回はメーカー向けにカスタマイズでシステムを提供しているK社と、定額で標準機能に対応しているプライスサーチforブランドとの比較についてまとめています。
1)導入実績や機能面の比較
K社の場合、メーカー業界に限らないカスタマイズ性が高いため、要望に合わせた機能追加には初期費用が高くなる可能性が考えられます。
その分要望に合わせたメーカーに限らない調査先サイトの対応や細かいレポーティングやグラフのよるビジュアル化に活用するなど、マーケティング分析用途での活用には適している印象があります。
導入実績や機能面で比較すると、プライスサーチforブランドはメーカー事業者向けに160社以上と導入実績も多く、独自機能や標準で対応している調査対応サイト数が多いと言えます。
項目 | プライスサーチforブランド | K社 |
メーカー導入実績 |
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対応している業界 | 主に消費財、業務用品を扱っているメーカーのみ | メーカーだけでなく、不動産など様々な業界に対応 |
標準機能 | メリット
|
非公開(カスタマイズが前提) メリット
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対応する調査サイト数 | Amazon、楽天市場、Yahooショッピング、価格comだけでなく、 160サイト以上の専門サイトに標準で対応。 | 個別要望に合わせた開発が必要 (開発実績のあるサイトはコスト減の可能性あり) |
2)テスト運用やサポート面の比較
テスト運用時から導入後のサポートまでを比較すると、K社は他業界向けに「カスタマイズで提供しており対応範囲が広い」ため、メーカーの課題に対するサポート体制が整っていない印象があります。一方でプライスサーチは、メーカー業界に特化しているため、専任のサポートスタッフが流通課題だけでなく、「独禁法の知識と課題に合わせた対策のアドバイス」を行っています。
機能のカスタマイズ性(自由度)に関しては、コストを投資すれば導入時からの要望を反映するK社の方が適していると印象がありますが、
プライスサーチには、
「価格競争のプライスリーダー(最初に値下げした店舗)の分析」
「保存したレポート条件を指定のメールアドレスへ定期配信」
できる機能が「定額プランで利用できる」のが大きな特徴と言えます。
※1)ブロック対策とは、大手EC法人などの調査先サイトで、セキュリティ観点の仕様変更やアクセスブロックが頻繁に行われており、データが未取得になった際のシステムのメンテナンス対応のこと。
また各調査先サイトの仕様変更による情報の未取得が発生した場合、都度メンテナンスのコストが発生しますが、プライスサーチでは定額プランに全てコストが含まれています。
自社にあった流通調査ツールを選ぶ上でのポイント
1)利用する目的や課題に合わせた機能やサービスが充実しているか
- 自社取り扱い製品の業界の導入実績があるか。
- 現在の課題に対して、解決できる機能が揃っているか。
- 取り組みたい時期に合わせて、必要な機能が備わった利用環境を用意できるか。
- 例えば、楽器、工具、カメラ、家電といった調査先サイトに標準で対応しているか。
2)サイト仕様変更によるメンテナンスのコストやサービスの継続リスク
- 特にアクセス数が多いAmazonや家電系の調査先サイトは、仕様変更によるデータ未取得が発生しやすく、メンテナンスの費用が発生するか。
- 各調査先サイトのセキュリティ観点のウィルスなどのブロック対策による未取得対策に対応しているか。
- 特定業界に特化しているシステムは、市場が狭いほどサービス終了のリスクが多いため、継続利用ができそうか。
3)実際の業務活動に合わせたテスト運用やサポートが充実しているか
- カスタマイズの場合、要望にあった機能を用意するまでの期間がかかるか、導入前に実際の機能を無料でテスト運用ができるか。
- 導入前のテスト運用から、システムに関する問合せや活用方法に関してのサポートがあるか。
- メーカー業界特有の流通課題や独禁法といったコンプライアンス関連の知識を有したサポートがあるか。
まとめ
自社商品の流通把握する上で、数多くのEC価格調査ツールやカスタマイズで受託開発〜運用するシステムと様々ありますが、メーカー事業者が利用できるツールは限られており「初期の開発費用」「保守運用のメンテナンス費用」がかかるものが殆どであり「定額で利用できる」調査ツールは他にありません。
メーカー事業者に特化した定額で利用できるツールを利用するか、自社独自にカスタマイズしたシステムを1から構築して導入するか、によって、初期導入費用や導入後のコスト、業務課題の解決に大きな差がでます。
自社の運用体勢や課題にあった適切な運用方法やサポート、メンテナンスのラーニングのコストも踏まえて検討することをお勧めいたします。
バリュース社が提供している「プライスサーチ for ブランド」は、独自のWebクローリング技術により「160サイト以上の法人サイトの情報を定額で取得できる」システムです。
数多くのメーカー事業者のサポート実績があり、業界に熟知している専任スタッフがテスト運用段階から課題解決のために導入後も徹底的にサポートいたします。
まずは自社の流通販路を把握するところからの無料体験のみのご提供やサポートもしておりますので、お気軽にお問い合わせください。