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小売店の安売り広告の制限について

公開日
2020年02月29日 03:33
最終編集日
2023年02月10日 10:52

小売業者の広告および販売方法に関する制限

メーカーが小売業者に対し、広告などのプロモーションやその販売方法についての制限を行うことです。

以下の制限について注意する必要があります。

  • 商品の適切な販売の合理的な理由が認められるか
  • 他の取引業者に対しても同等な条件が課されているか
  • 販売方法の制限を手段として、販売価格の制限を行っていないか

広告制限に関する合理的な理由とは

  • 商品の安全性確保
  • 商品の品質の維持
  • 商標の信用の維持

など、商品の適切な販売のためのそれなりの合理的理由が認められ、かつ他の小売業者に対しても同等の条件が課されている場合は、その制限行為自体は独占禁止法上問題ないとされている。

具体的な相談事例

例1)独禁法上問題となった事例

インテリア用品メーカーによる小売業者の安売り広告の禁止

メーカー希望小売価格を設定しており、その商品はデザインや材質にこだわった商品で、一般消費者の間でも高い評価を得ている。

これを取り扱うことも希望する小売業者も多い一方で、他小売業者において安売りが行われていることも多く、特に大規模小売事業者では、メーカー希望小売価格の30%から40%引きで大幅な安売りを行うとの広告で大々的に宣伝していた。

そのため、メーカーには大規模小売事業者の近隣の小売事業者から、その安売りに関する苦情が寄せられるようになり、メーカーは全ての小売業者に対して、その商品の安売り広告をしないように要請し、これに従わなければその商品の出荷停止も有り得るとの通知を検討していた。

これに対して、公取委は以下の理由から独禁法上問題となる、としました。

「メーカーが自社商品について小売業者の安売広告を制限」
「小売業者間の価格競争が制限される」(上記により)
「販売価格が維持されるおそれがある」

ということから「拘束条件付取引」に該当し、独占禁止法上問題となると回答しています。

広告・表示の方法は、「販売方法の一つ」ではありますが、メーカーが小売業者に対して、

「店頭、チラシ等で表示する価格について制限し、又は価格を明示した広告を行うことを禁止すること」

この行為によって

「これによって価格が維持されるおそれがある」

という点で、原則として「不公正な取引方法に該当し、違法となる」とされています。

例2)独禁法上、問題にならない、とされた事例

健康器具メーカーによる小売業者の広告規制

ある健康器具メーカーによる製造販売の国内シェアは約35パーセント(第1位)であり、
小売業者を通じて一般消費者に販売している。 

消費者の健康志向の高まりにより年々需要が増加していることから、
ここ数年インターネット販売を行う小売業者のホームページ等において、
「効能・効果について、虚偽・誇大な広告が行われるようになった」

そこで、健康器具メーカーは、虚偽・誇大な広告を防ぐために全ての小売業者に対して、該当商品を広告に掲載する場合、自社が作成する雛形を用いて健康器具の商品説明をするよう義務付けることを検討していた。

  • 調整が行われないままで販売されると性能の発揮が著しく阻害され、
    消費者に不利益を与える蓋然性が高い
  • 調整は通信販売では行うことができない
  • 消費者が販売時の調整を必要としない機器に限定して行う通信販売についてまで
    禁止するものではなく、必要最小限の制限であることから、
    合理的な理由があると考えられ、取引条件として
  • 全ての取引先事業者について同等の制限が課せられること
  • 店舗販売を行う取引先事業者の中には、希望小売価格より相当程度低い価格で販売を行う者も存在し、
    取引先事業者の販売価格について制限を行うものであるとは考えられないこと
    という事実確認から取引先事業者の事業活動を不当に制限するものではなく,
    独占禁止法上問題となるものではないとされた事例です。

注意すべきポイント

販売価格、販売地域および販売先の制限は合理的理由と判断されずに、個別に違法性が判断される。

例えば、
メーカーが指定した販売方法に反する小売業者のうち、
「安売り業者のみに出荷を停止する」「販売価格の拘束を行っている」と判断され原則違法となる。

広告やチラシなども販売方法の1つと解釈され得るが、
「価格の明示や安売り表示の排除」などの形で制限を行うことも当然販売価格の拘束に該当する。

販売価格、販売地域および販売先の制限を目的とせず、販売方法の制限をどの小売業者に対しても行った結果、
安売り業者が排除されることは問題ない、とガイドライン上の文面から解釈することもできるが、
実際に制限を行う場合はガイドラインを遵守し独占禁止法に抵触しないよう注意する必要があります。

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