マスクの急激な需給の増加により、リアル店舗での品薄が続いたため、各ECモールやヤフオクなどの中古販売サイトでの転売行為や高額販売が数多く見受けられるようになりました。
流通データを提供した日経ビジネス様から
2020年4月30日 「日用品「コロナ高値」ネット通販出品データ解剖」の記事が掲載されています。
特にAmazonでの個人的な利益を得るような行為が特に目立っていたのがデータから見受けられます。
今回は主要ブランドマスクのEC流通状況のデータを取得し、各ECモールでの動向や公正取引委員会の対応についてまとめています。
1.各モールにおけるマスクの販売店舗数と価格の動向について
弊社がメーカー事業者様向けに提供しているプライスサーチ for ブランドは、システムへ商品データ(商品名、JANコード、メーカー固有型番など)を登録することによる、ECサイト内の情報を自動で巡回して取得し市場の供給量や各販売店の価格を取得することができます。
今回予めデータ取得をしておいた各マスクメーカーの流通状況と販売価格の独自データを特別に公開しています。
(2020年2月10日〜5月28日、1日1回取得したデータを元に集計)
1)主要マスクブランドのEC流通量の推移
主要マスクブランドを調査したところ、3月以降から各ECモールでの販売数が急激に減少しているのが分かります。
その一方でノーブランドのマスクの販売数が増加しています。
各ECモール別で見ると、特にAmazonでの販売数が急激に減少していることが結果として顕著に表れています。
2)主要メーカーの商品別の販売価格の推移
主要メーカー別の最安値を推移を見ると、「超快適マスクふつう50枚」が「22,275円」と 高額で販売されており、4月以降の出品が無くなっている。一部白元アースや王子ネピアの商品で4月以降も高額販売を続けている店舗が見受けられる。
2.各省庁や公正取引委員会の対応について
1)国民生活安定緊急措置法に基づくマスクの転売規制について
消費者の不利益に大きく影響する行為は、公正取引委員会だけではなく、以下のように「厚生労働省、経済産業省、消費者庁」が動くケースもある。
緊急措置法26条に違反すると、
「懲役5年以下か罰金300万円」が課せられる、とされています
2)独禁法上の見解について
日経ビジネス様の掲載記事の内容にもある通り、4月下旬には公正取引委員会から以下の内容が公表されています。
(質問事項)
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、マスク、除菌剤等の小売価格が高騰しないよう,これらの商品について,メーカー等が小売業者に対して一定の価格以下で販売するよう指示する行為は,独占禁止法上問題となりますか。
(回答)
1.正当な理由がない場合、独占禁止法上問題となる(再販売価格の拘束)
2.今回のケースは例外として、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が進む中で、一定の価格以下で販売することによって、当該商品の購入に関して消費者の利益となり、正当な理由があると認められる。
3.「マスクのような商品」「期間を限定して」「販売価格の上限を指示する」ことは独占禁止法上問題とはならない。とされています。
※但し、一定の価格以下で販売するよう指示することで、かえって商品の「小売価格の上昇を招く」場合、正当な理由とは認められられない。
公正取引委員会の公開情報を参照
3.各ECモールやCtoCモールの対応例
1)Amazon.co.jp
出品者以外に公開されていないが、Amazonマーケットプライスのガイドラインから、マスク及び衛生用品のアカウント停止の行為が見受けられる。
2)楽天市場
サイト公開資料から抜粋
3)yahoo!ショッピング
出品者向けのメールから抜粋
4)ヤフオク、メルカリ(CtoCサイト)
ヤフオク公開資料から抜粋
メルカリの公開資料から抜粋
4.まとめ
明らかに「個人的な利益を得るような転売行為」や「消費者の負担になるような高額販売」は今後も価格指示に対する規制が緩和される可能性があります。
該当の製品を供給しているメーカー様も急激な市場変化による消費者への影響に備えて日々ECの流通状況を把握しておく必要があります。
しかしながら、マスク以外は「転売禁止の対象外」とされており、「自主規制を求める対応」「公取委に直接問い合わせる」などの取り組みが適切な販売価格で流通することによる消費者の利益がブランド価値の維持に繋がると考えられます。
弊社では、今後もイーコマース事業の発展のためにメーカー様やEC事業者様への情報提供やサポートを積極的に行ってまいります。
自社製品の流通課題がありましたら、該当製品の流通調査とレポート提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。