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巣ごもり需要と消費の動向

公開日
2020年06月02日 15:22
最終編集日
2024年12月02日 12:39

巣ごもり消費によるEC市場の変化

アフターコロナ以降の外出自粛による巣ごもり消費により、EC市場が変化しています。
新型コロナの影響による、マスクやトイレットペーパーなどの衛生用品や日用品の需要過多となるような消費行動も落ち着いてきました。

高齢者のデジタルシフトの加速やキャッシュレス利用の拡大の影響など、通販事業社にとっては急激な需要拡大に限らず消費行動や仕入れる商品の選択、市場売価の動きなどを常にアンテナを張っておく必要があると思います。

商品の品目毎の需要の拡大

1)総務省「家計調査」から見える巣ごもり消費の動向

ニッセイ基礎研究所が政府や総務省公開資料からまとめたデータによると、
2020年3月の二人以上世帯の支出額は前年同月と比べて実質6.0%減少した。
とされているが、実際は各商品の品目毎の消費の増減が起きている。

消費が落ちている商品をメインで取り扱っている小売店に取っては、
今後の仕入れ戦略見直す必要ができていると考えられます。

家計調査

2)yahooショッピングから見える巣ごもり消費の動向

yahooが公開している2020年4月~5月GW明け期間で売上の伸び率を集計したデータによると、
一番伸びているカテゴリは「ダイエット、健康」で約4.0倍、次に「本、雑誌、コミック」が約2.0倍、
次いで「ゲーム、おもちゃ」が約1.7倍となっています。 

伸びが弱いカテゴリは「CD、音楽ソフト、チケット」「スポーツ」「ファッション」などとなっています。

3)楽天市場、Amazonから見える巣ごもり消費の動向

ECClabがNintを利用して集計したデータによると、特に非接触型の「ベビー体温計」、長時間の自宅でのリモートワークの対策として「チェアパッド・座面クッション」、自宅で楽しむためのゲーム「あつまれ 動物の森」「Nintendoゲーム機」が売れているとされており、コロナ影響が見受けられる。

巣ごもり消費の動向
ECClab公開データを参照(楽天市場)(Amazon)

インターネット上での高まっている購買ニーズとは

1)知育系の商品や子供の見守り用品

ヨドバシカメラやビックカメラの実店舗の売上実績によると、「留守番する子供の見守り向けのカメラ」や「百人一首、カルタ、人生ゲームなどのボードゲーム」が2020年3月1日までの1週間で前年同期比の1.3~1.7倍になっていることから、自宅内で過ごすための商品の購買意欲が増えている、と言えます。

yahooの公開資料を見ると、特に「パズル」「ボードゲーム」の伸び率が高いのが分かります。

2)加湿器、掃除機、自宅ご飯機器、美容・セルフケア商品

yahoo、楽天市場の公開資料の家電カテゴリを見ると、
「コロナウイルス関連(加湿器・ミシンなど)」
「自宅ごはんの充実関連(炭酸水メーカー、ホームベーカリーなど)」
「おこもり美容(スチーマー、頭皮エステ)」
「セルフケア関連(電気バリカン、ネイルポリッシャーなど)」
が特徴として伸びていることがわかります。

yahoo公開データを参照

3)冷蔵庫や冷凍食品

ケーズデンキによると、冷蔵庫の2020年2月の売上が前年同期比の1.5倍となっており。ライフやセブン&アイホールディングスでは冷凍食品の売上が通常の1.5~2倍に売れていることから「まとめ買いをして食糧を保管しておきたい」購買意欲が増えている。

4)体温計などの体調管理用品

ケーズデンキによると、衛生用品だけでなく体温計の売上も3倍になっており、欠品が続いている。飲食店や販売店での体調をチェックするなどの家庭内のニーズ以外の購買ニーズも増えていると考えられます。

5)在宅勤務やテレワークに必要なパソコン周辺機器

ビックカメラによると、テレワークなどの在宅勤務でネット会議に必要なウェブカメラの売上が4倍に増加、マイクやヘッドホンの一体型のヘッドセットも2.5倍に売上が伸びている。プリンターの売上も伸びている傾向があるため、「自宅での作業環境を整える」ためのパソコン周辺機器の購買意欲も増えていきそう。 

6)スポーツ・アウトドア用品

日本ネット経済新聞が公開している楽天市場で売上が高いカテゴリを見てみると、子供の運動用や大人でも利用できる「トランポリン」「ヨガマット」などが取り扱っている小売店で昨年対比で5倍~10倍にも伸びたとされている。他子供が外で遊ぶ機会が多くなった「ジェイボード」「リップスティック 」(エスボード・ブレイブボード)や幼児向け「ペダルなし自転車」などもよく売れていると考えられます。

日本ネット新聞公開データを参照(楽天市場)

7)ノーブランドのマスク

昨今の国からの要請を受けて、Amazon、楽天市場、Yahooといった主要ECモールでのブランドマスクの販売業者や流通がなくなって反面、各販売店の独自の仕入れルートのノーブランドのマスクの流通量が多くなり、価格競争が発生しています。購買トレンドキーワードでの検索ニーズも需要が高まっている傾向にあります。2020年6月以降は実店舗やオンラインでの在庫も目立ち、売れづらい傾向にあると考えられます。

購買ニーズに合わせた顧客を獲得するには

1)デジタルチャネルへのシフトが急務

実店舗をメインで展開している小売店であれば、固定客が限定的になることで事業が悪化するケースが多いと思います。
固定客を逃さない、新たな顧客獲得にはオンラインでの販売を検討することが重要です。販売戦略だけでなく、購入数が増えるほどカスタマーサポートの対応も必要になってきますので、顧客満足度の向上(ロイヤルティー)も一緒もチャットツールなどを利用することによる効率化も検討しましょう。

2)需要に関連した商品の仕入れルートを確保する

仕入れる商品を決定するには市場の流通状況や販売価格を把握しておくことも重要です。より代替性がある競争力のある商品ほど価格競争になりやすく薄利多売になりがちです。より多くの商品の情報を取得しておくことにより、仕入れや販売価格の意思決定が効率化できると考えられます。

3)休眠顧客を掘り起こす

各販売店の取り組みとして、「テレワーク関連用品」「自宅で遊べる知育グッズ」「体調ケア用品」の特設ページを作成し、1回購入のみの休眠顧客が購入していない購買ニーズの高い商品を提案する(メルマガなど)ことにより、2回目の購買意欲やリピーターを獲得している方法もあります。

4)市場価格に合わせた販売価格に変更する

急激な購買ニーズが高まると、より高単価での商品の提案ができるケースもあります。検索キーワードで競合するような代替性のある商品も、表示される販売店数が少なければ、市場価格を把握しておくことにより、競争性を回避した価格決定ができる可能性もございます。

まとめ

ネット市場の購買ニーズは高まっているものの、仕入れ先の確保や競争性の高い商品ほど利益を確保しづらいケースも多いかと思いますが、常に市場の流通量や価格情報を把握しておくことによって、急な購買ニーズにも対応できると考えられます。

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