
Amazonでの販売競争が激化する中、カートボックスを獲得することは、購入者に最も目立つ場所に商品を表示することができるため、売上向上の鍵となっています。本記事では、Amazonカートボックスの基礎知識と、具体的な方法を解説していきます。
目次
Amazonショッピングカートボックスの役割
Amazonショッピングカートボックスは、商品ページ内の「カートに入れる」ボタンに連動するエリアで、ここに表示される出品者が購入の第一候補となります。
Amazonは同じ商品を一つのページにまとめる仕組みを採用しており、複数の出品者が競合していても、ユーザーは多くの場合このボックスから購入を決定します。
表示される出品者は必ずしもこれだけで選定されるわけではありませんが、価格、配送速度、評価などを基準にAmazon独自のアルゴリズムで選定されます。したがって、カートボックスを獲得することは購入率を大きく左右し、売上拡大の成否を分ける大切なこととなります。
特に競合が多いジャンルでは、その有無が売上に大きな差を生み、事業の成長スピードにも直結します。
さらに、カートを獲得した出品者はAmazonに推薦された形で表示されるため、購入者に安心感を与え、購買行動に良い影響を与えるのです。
Amazonショッピングカートボックス獲得の必要性
一般的にはECモールで消費者が買い物かごに商品を入れることを指しますが、Amazonでのカート獲得の意味は異なります。Amazonのカート獲得とは、商品ページにある「カートに入れる」ボタンを含むエリアに出品者の店舗情報が表示される状態を指します。

ユーザーの多くはこのトップページの「カートに入れる」ボタンを押して購入するため、カート獲得をしているかどうかは購入率に大きく影響します。
1)商品を目立たせることで売上向上が見込める
Amazonは楽天やYahoo!などの店舗ごとに商品ページがあるモールと異なり、1つの商品ページに各店舗の商品がまとめられています。
同一商品を複数の店舗が出品している場合、カートの目立つ位置に表示される(カート獲得)出品者は1つのみです。カート獲得ができていない場合、消費者がカート下部にある「Amazonの他の出品者」の詳細を確認しないと露出されないため、購入される機会が激減します。

2)Amazonスポンサープロダクト広告が利用できる
カート獲得をするとAmazonスポンサープロダクト広告が利用できるようになります。(正しくはカート獲得していない場合も利用は可能ですが、露出されません。)スポンサープロダクト広告は商品の宣伝、売上の増加、ブランド認知の向上に役立ち、クリック課金制で利用できます。
ショッピングカートボックス獲得の状況を確認する方法
獲得できているかを確認する方法は2種類あります。
まずは出品者用の管理画面「セラーセントラル」を利用する方法です。 「レポート」から「ビジネスレポート」を開き、「詳細ページ売上・トラフィック」の項目に進むと、おすすめ商品(ショッピングカートボックス)の割合という数値が確認できます。
もう1つは商品ページを直接チェックする方法です。「カートに入れる」ボタンの下に表示される販売元欄に自社名が出ていれば、その時点でカートボックスを押さえられている状態です。表示がなければ他社が獲得していることを意味します。 FBAを利用している場合には出荷元がAmazonと表記される点も知っておくと安心です。数値による分析と、実際の画面での目視を組み合わせることで、より正確にカート獲得の状況を把握できます。
ショッピングカートボックス獲得の方法
カート獲得の方法にはいくつかの要素があります。
Amazon seller centralのサイト内ではこのような記載があります。

おすすめの出品の対象となるために必要な条件を教えてください
おすすめ出品=カート獲得と同義です。
カート獲得の具体策
カート獲得の要素を踏まえた具体策は以下の通りです。
1.出品形態が大口出品であるか
出品形態の選択は、カート獲得を狙ううえで非常に重要です。小口出品は手数料が安く、少量販売や副業には適していますが、カート獲得の対象外となります。本格的にAmazonで売上を拡大したい事業者にとっては、大口出品が必須といえるでしょう。
大口出品と小口出品では、料金体系や利用できる機能、カートボックス獲得の可否などに大きな違いがあります。以下の表にその違いを整理しました。
大口出品と小口出品の違い
大口出品 | 小口出品 | |
---|---|---|
カートボックス獲得可否 | 可能 | 不可能 |
基本料金 | 月額4,900円+販売手数料 | 1商品100円+販売手数料 |
向いているケース | ・カートボックスを狙いたい ・月49点以上を販売 ・広告を活用したい ・検索上位を狙いたい ・出品ツールを利用したい | ・月49点以下の少量販売 ・広告を使わない ・出品ツールを使わない |
2.発送までのリードタイムを短くする
注文後の発送時間を短くすることで、ユーザーから評価されやすくなり、店舗のパフォーマンスも高くなります。
3.注文不良率、キャンセル率を低くする
注文不良やキャンセルが多いと、店舗パフォーマンスが低いと見なされてしまいます。
4.FBAの活用
FBA(フルフィルメント by Amazon)は、Amazonが注文の受注、梱包、発送、カスタマーサービス、返品の全てを代行してくれるサービスです。FBAを活用することで、店舗パフォーマンスが向上し、Amazonからの評価が高くなります。
5.競争力のある価格(売れやすい価格、最安値)に設定する
一定の注文数を満たすことはカート獲得にとって重要な指標の一つです。同じ商品であればより安い商品が売れやすいのは明白です。注文数を増やすためには、売れやすい価格(最安値)に設定する必要があります。
また、ECモールの価格は常に変動しているため、適正な価格を保ち続ける必要があります。
ショッピングカートボックスが獲得できない原因と対策
カートボックスを獲得するための施策を行っていても、思うように成果が出ない場合があります。主な原因としては大きく3つが考えられます。
1.競合が多すぎる
自社よりも安価に販売する事業者や、FBAを利用して配送品質で優位に立つ出品者、レビュー数の多い店舗などが存在すると、同条件では不利になります。対策としては、価格競争に巻き込まれないように差別化ポイントを明確にすること、レビュー獲得や配送スピード改善で評価を高めることが有効です。
2.Amazonのアルゴリズム変動
Amazonのアルゴリズム変動により、出品者に明示されていない仕組みが影響して、突然カートが取れなくなるケースもあります。短期的に解決する方法はなく、在庫管理や顧客対応、配送品質といった基本指標を地道に改善し続けることが最善策です。
3.Amazonが直接販売している場合
Amazon直販やAmazonブランド商品が競合すると、基本的にはAmazonが優先されます。この場合は無理に競合せず、セット商品や付加価値をつけた形で差別化を図る、あるいは他のECモールへの展開を検討することも現実的な対処法です。 これらを踏まえて、単に価格だけで勝負するのではなく、レビューや顧客対応、在庫管理といった総合力で信頼を積み上げることがカートボックス獲得の近道といえるでしょう。
プライスサーチはAmazon固有の情報が取得可能
Amazonでのカートボックス獲得は、売上向上に直結する非常に重要な要素です。本記事で紹介した具体策を実践し、カートボックス獲得を目指しましょう。
プライスサーチは、Amazon固有の情報である「カート獲得状況」や「Prime表示の有無」なども取得可能な価格調査ツールです。カート獲得店舗やPrime店舗の最安値に合わせた自動価格更新が可能で、競争力ある価格を維持できます。
もちろん、全体の最安値への追尾や、特定の競合店舗に絞った価格追尾にも対応しており、柔軟な運用が可能です。